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蛇紋塗装

Silkflossmask015「大理石調塗装」って言えば分り易いでしょうか?自分が始めて教えてもらった時が「蛇紋」だったのでそう呼んでますが、「マーブル塗装」と呼ばれてたりもします・・・ってもマーブルは大理石なんで結局「大理石調塗装」ですが^^;。 前記事でも書きましたが、自分が最もやり方を聞かれる塗装方法です。文章で説明してもなかなか伝わらないし、ソレが画像つきでもどうだろう?と思うのですが、一通り説明してみましょうか。

以前にトリムス・デヴィーを製作してもらうにあたって、「台座の模様はどうすれば良い?」と聞かれました。結果的に現地で必要なマテリアルを調達できないようだったので、「ソコは単色のグラデーションで良いヨ」と言う事にしたんですが、その時の説明用に使った画像があるので公開します。

【はじめに】

この塗装方法、どういうモノかというと「真綿(silk floss)」を使ってマスクシートを作ります。真綿の繊維がマスキングとなって塗料の透過を防ぐ事で真綿繊維の模様を対象物に転写する・・・それだけの事です。なのでマズ用意するのが「真綿」ですね。
マワタはメン(コットン)では無くシルクなのでお間違いの無いように(蚕の繭の繊維の事ですよ)。今は「真綿 販売」のキーワードでネットで取り寄せる事ができますし、近所にふとん屋さんが有るのならそこで取り寄せることも可能。近頃は数百円で小分けにしているものも有るのでそれで十分、恐らくそれで何体も塗れますヨ。また「使い捨て」になるのでそんなに高価な物を買う必要も有りません。では工程です。

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①塊になってるんですが、実は薄いシート状の積層なんです。ソレを薄くピラ~ンとめくったモノを使用します。この時に注意するのは、薄過ぎず厚過ぎずの分量にする事。どちらかといえば薄い方が良いんですが、薄すぎると広げた時に繊維の密度が不均衡になります。また繊維同士の間隔が開きすぎて穴が開いたような状態になりますが、その部分は使えませんから。
逆に厚すぎると塗料が通りにくくなります。塗料が通りにくいと言う事は転写が上手く出来ないと言う事、だとしたら真綿マスクを使う意味が無くなるので。

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②何でも良いので簡単な治具を作ってソコに綿を広げます。そのままでは繊維が柔らかすぎて使いにくいので、ラッカークリアーでコートします。この時に使う塗料はDIYショップで売っているような安価なモノの方が適してます。なぜなら質が悪くボッテボテだから。そういう塗料の方が繊維に絡んで皮膜を作ってくれます。そして乾燥も速いので効率が良いんですよね。

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③ラッカーコートをしつつ模様を指などで調整してゆきます。自分はこのときに手がラッカーまみれになりますね^^;。

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④コートしたラッカークリアーが乾燥したら治具から外します。真綿繊維がそれなりの張力を持っていれば成功。かといってガチガチに固まりすぎたら塗装対象物に沿いにくいので加減は必要です・・・てもまぁ乾燥と塗布を繰り返すこと数十回もしないとそうはならないけども。 またガチガチになると柔軟性が損なわれます。つまりソコが売りの真綿を使う意味が無くなると言う事でも有ります。

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⑤そうして作った真綿シートを対象物に被せます。繊維の模様が最もはっきり転写できるのは明度差の大きいカラー同士。黒に白と言うのがMAXなので、画像ではベースに黒を使ってます。

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⑥ハンドピースで白を吹きました。この時の塗料は隠ぺい力の高いモノを使います。吹きやすいからと言って希釈率の高い塗料で上掛けすると、転写時のコントラストが弱くなる。それを回避するために真綿シートを被せたまま何度も吹いていると・・・まぁやれば判ります(笑)。

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⑦転写完了

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⑧・・・と言っても半面だけです。

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⑨一気に全面は転写できないので対象物をズラしながら同じ作業を繰り返します。

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⑩繰り返し~

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⑪全面の転写完了です。

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⑫上から透過率の高い塗料をオーバーコート(平吹き)すれば転写模様を活かした状態で色を変える事ができます。最後に真綿の繊維が対象物に付着しますので、クリアー層で一旦保護した後に面研してくださいネ。

以上が工程なんですが作業イメージは伝わるでしょうか?しかし文章には出来ない部分で、実際にやってみないと分からない幾つかのハードルがこの中にはあります。いくつか例を挙げてみましょうか?

◆最初に取り分ける真綿はどのくらいの分量が良いの?
◆真綿はどれくらいの大きさにするのが模型塗装に適しているの?
◆シートを作る際、どれくらいラッカーコートすれば良いの?
◆繊維模様の調整ってどんな感じでするのが良いの?
◆平面などへの転写は容易だけど谷にシートを沿わせるにはどうしたら良いの?
◆ワンシートの耐久性ってどれくらい?

以上は何回もやってみて初めて「頃合い」が判ります。また上記以外にもハードルが点在しているかもしれません。ソレらの課題をクリアしてどんな状況のモノにも綺麗に転写、そして転写後の全体の色味のコントロールまでできるようになったら、今度は明度差が近い色でのトライ・・・ソコまで出来て初めて自分のモノになります。

Silkflossmask013この方法をよく使うのが自分の場合はエイリアン。画像は佐野さん原型のバスト(途中の工程)ですが、本館の完成形と比べてみてください。この段階は「下地」なんです。重要な部分ですが、しかしこの方法はあくまでも「一つのアクセント」にしかならないんですよ。「それでもやる!」・・・かどうかは自身で決めてくださいネ。

こないだもWFで聞かれたので方法を説明したんですが「やれるものならやってみろ!」と言う気は全く無いので念のため(笑)。逆に「是非トライして自分のモノにしてください」と思ってますよ。でないと画像つきでココまで説明しませんし。そしてマスターしたなら周囲の人や後輩達に教えてあげる事でモデラー人口が増えることを願ってます。なぜならモデラー人口が増えればGKが売れるから(・・・ってソコかい!笑)。

Silkflossmask014あと「真綿」な理由をば。筆でもそうなんですが天然素材は色んな意味で良いんです。真綿の引っ張り強度とその繊維質の流れ、そして柔軟性などを考えたら代用品は無いんじゃないかな?「その他の代用品を使ってみた」と聞くことが有りますが、ソレを使ったところで同じような塗装が出来るとは思えません。といっても「上記のやり方をマスターしたならば」という前提条件は有るんですけどね。単に真綿を使うと言う事だけではコレマタ上手くは行かないだろうと。

以上は自分が建築装飾で使われる塗装方法を模型用にコンバートしたやり方です。なので各人で更にやりやすい方法に変えれば良いと思います。頑張ってトライ&マスターしてみてくださ~い♪

【追記】

一部表記に解りにくい部分が有るようなんですが、直さずにそのままにしておきます。必要な事や、やってみた後で気付くだろう事なども含めて書いたつもりなので。文章だけで解らない場合、ソレを無理に読み解こうとするのでは無く試す事を優先するのがオススメです。実際にやってみて出来たのならばオールオッケーで、上記の説明文どおりの工程である必要はありません。「出来たモン勝ち」って事で宜しくです。

Silkflossmask016それとこの方法を応用して塗装したデコマスの製品「Geccoバブルヘッドナース」が近く予約者の元に届くと思います。自分とは違うアプローチで再現された同製品ですが工場の塗装サンプルを見るに「よく頑張ったなぁ」と。今まで色んなところにこの方法を伝えましたが、製品に反映したのはGeccoさんが始めてです。創意工夫を凝らし、自分達で出来る範囲で果敢にトライした意欲作だと思いますので購入者は楽しみにしててください。
(画像はデコマスです。現段階で自分のところには製品版の画像は有りませんので「豆ブログ」でチェックしてくださいネ♪)

【追記②】(2016/09/01書き足し)

この塗装法は私が考えたやり方では無く、FRP製造形物や建築装飾品の塗装用に伝わってるものです。なので本当はもっと大きな、例えば直径数十cm~1m越えの柱(H寸は数メートル)や装飾建材(手すり子・コーニス・オーナメント・キャピタル)などに施すモノなんですね。ソレを模型用に転用しているだけ。因みにFRP造形をするところなら何処でもこの方法は知ってるハズってくらい浸透しているやり方です。

装具を自作されるコスプレイヤーの方も参考にされているようなので書きましたが、だから身に付けたり手に持つ程度の装飾品なら全然余裕って事ですね(真綿シートを大きくすれば良いだけだし)。

また建材関係の方で有れば扉はおろか数十メートル規模の壁面でもイケますよ。実際に昔「トレビの泉」をやや縮小した建造物をこのやり方で塗った経験が有ります(数日懸かりましたけども^^;)。

だから車・バイク・ヘルメット・タンクなんかのカスタムペイントにもOKなんですが・・・大理石模様がマッチするのか?って問題は有るかも(笑)。つまり元来ラッカーでは無く「ウレタン塗料を使ってする塗装方法である」・・・と言う事も付け加えておきます。

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